30Jul

こんにちは、隼華12期生 荒岡倫代です。
7月19日から24日まで妹が住むフィンランド ヘルシンキから西部の群島にある**Pensar(ペンサル)**という島を訪れました。フィンランドには大小さまざまな島が約188,000個あるそうで、そのうちの1つです。
今回滞在したのは、海のすぐそばに建つ島のコテージ。コテージを一歩出ると、目の前には桟橋があり、釣り竿を持ってすぐに釣りを始められるという、釣り好きにはたまらない環境です。
群島に囲まれた海はとても穏やかで、ほとんど波がありません。風が吹いたときに、水面の波紋がゆっくり移動していく程度です。


滞在中の気温は16〜22度ほど。長袖がないと少し肌寒く感じる日もありましたが、日本の酷暑を離れた私にとっては、心からほっとできる気持ちのよい気候でした。
もう一つ、日本の海との違いを感じたのが、海水の塩分濃度です。バルト海は、多くの川から流れ込む淡水の影響で、日本の海(約3%)よりも塩分濃度が低い海(0.7%)です。そのため、日本の海で泳いだり釣りをしたりした後のように、潮風や海水で肌や髪がベタベタする感覚がほとんどありません。釣り具を触っていても塩気があまり気にならず、海辺にいるのに、どこか湖のほとりにいるような不思議な感覚でした。
また、バルト海では潮の満ち引きもごくわずかです。日本の海では、時間によって海面の高さが大きく変わり、釣りをするときにも潮の動きを意識しますが、Pensarでは桟橋と海面の位置が一日を通してほとんど変わりません。海水面は潮の満ち引きよりも、風や気圧の影響を受けて変化するそうです。穏やかな水面と相まって、「本当にここは海なの?」と思ってしまうほど静かな環境でした。
夜まで明るいフィンランドで、時間を忘れて釣り
魚がよく釣れたのは、早朝からお昼頃までと、夕方18時頃。そして、21時を過ぎてからも魚の活性が上がり、よい反応がありました。
夏のフィンランドでは、日が沈むのは23時頃。日本にいると「もう夜だから釣りは終わり」と思ってしまう時間でも、外はまだ明るく、夕方のような感覚です。
時間を気にすることなく、ゆったりと釣りを楽しめるのも、夏のフィンランドならではでした。
今回は、スピニングリールにワームをつけ、不規則な動きを加えながら魚を誘います。
すると、竿先に伝わる「クンッ」という小さな引き。
アタリはとても分かりやすく、しっかりと合わせたあとは、糸を緩ませないようにリールを巻いていきます。
釣れたのは、30センチ前後のAhven(アハベン)。フィンランドで親しまれている白身魚です。体には黒い縞模様があり、ヒレは鮮やかなオレンジ色。見た目もきれいな魚でした。
■甥っ子とAhaven

日本とはまったく違う、フィンランド流の魚の捌き方
釣った魚は、もちろん自分たちで捌きます。
私は日本で魚を捌くときの方法を想像していたのですが、フィンランドで教えてもらった捌き方は、まったく違うものでした。
まず驚いたのが、鱗を取らないこと。
Ahvenの鱗は小さく、とても硬いため、無理に鱗を取らず、最後に皮ごと取り除きます。
最初に内臓を取り出し、エラを外しますが、頭はついたままです。
次に、腹側からフィレナイフを入れ、背中側へ向かって刃を進めます。頭を持ちながら、そのまま尾に向かってナイフを滑らせていきます。日本の大名おろしに近いような方法で、表と裏を同じように捌きます。
日本でアジを三枚おろしにするときは、腹側と背側から包丁を入れ、骨を感じながら少しずつ身を外していきますが、こちらではフィレナイフを大きく滑らせて一気に身を取っていきます。
三枚におろしたあとは、腹骨を取ります。この腹骨がとても硬い!
逆さ包丁で骨を身から外し、最後は思い切って剥がします。頭に近い中央部分にも少し骨が残っているため、そこはV字型に切り取ります。そして最後に皮引きです。
アジを捌く感覚で挑戦してみましたが、魚の身質も骨の硬さも違い、私は悪戦苦闘。
一方、フィンランド人である妹の旦那さんは、フォークで尾の部分を押さえ、包丁をスッと滑らせて皮を剥いでいきます。左手をほとんど汚すことなく、次々と魚を捌いていく姿は見事でした。
お国が変われば、魚の捌き方も変わる。
同じ魚料理でも、その土地の魚の特徴に合わせた方法があるのだと実感しました。
釣ったAhvenをバター焼きに
無事に捌き終えたあとは、いよいよ料理です。
今回は、Ahvenをバター焼きにすることにしました。
まず、切り身の両面に塩を振り、5分ほど置きます。魚から余分な水分が出てくるので、キッチンペーパーで丁寧に拭き取ります。
フライパンにバターを溶かし、魚を入れて焼いていきます。
先に塩をして身を締めておいたことで、焼いても身がボロボロにならず、きれいな形を保ったまま焼くことができました。
途中で白ワインを加え、両面に香ばしい焼き色がついたら、お皿へ移します。
魚を焼いた後のフライパンには、レモンを搾り入れ、さらにケイパーを加えてソースを作りました。
そのソースを焼き上がった魚の上にかければ、完成です。
フィンランドで、自分で魚を釣り、捌き、料理までしたのは今回が初めて。
その味は、想像以上のおいしさでした!
Ahvenは臭みがなく、身は淡白でふっくら。バターのコクとレモンの酸味、ケイパーの塩気もよく合い、何切れでもペロリと食べられます。
みんなでパクパクと食べ、あっという間に完食しました。
妹の旦那さんは、私が魚に塩を振って身を締めている様子を珍しそうに見ていました。食べたあとには、「おいしさの秘密は、これだったのね」と納得した様子。
フィンランドでは、魚を焼く前に塩をして身を締めることは、あまり一般的ではないのでしょうか。
日本の調理方法とフィンランドの魚料理が合わさった、おいしい一皿になりました。
空の色まで特別な、夏の群島
夏のフィンランドは、朝早くから明るく、夜も23時頃まで空に光が残っています。
ゆっくりと夕日が沈んでいく様子は、まるで絵画のようでした。
西の空は鮮やかなオレンジ色。その反対側にある東の空は、紫やピンク色に染まっています。同じ時間の空とは思えないほど、方向によってまったく違う色を見せてくれました。
目の前に広がるのは、森と群島と静かな海。
見渡しても人の姿はほとんどなく、聞こえてくるのは風や水の音だけ。慌ただしい日常を忘れ、ただ景色を眺めていたくなるような時間でした。
■東の空
■西の空
ボートで島を巡る、フィンランドの夏の過ごし方
フィンランドでは、自分のボートを持っている人も多く、夏になるとボートで島を巡ったり、海辺にある自分のコテージへ出かけたりするそうです。(私は車とカーフェリー移動です)
Pensarも、船で旅をする人たちが立ち寄る場所のひとつ。島にはレストランもあり、航海の途中で食事を楽しめるようになっています。

ボートで島を巡り、好きな場所に滞在し、目の前の海で釣りをする。日本ではなかなか経験できない旅のスタイルです。
冬が長いフィンランドでは、夏に1か月ほどの長い休暇を取る人も多く、国全体で短い夏と太陽を全力で楽しみます。
夏休み中は、街を離れて自分のコテージへ行く人が多いため、街中は交通量も人通りも少なくなるそうです。
さらに驚いたのが、小学生や中学生には夏休みの宿題がないということ。
校長先生からは、「勉強のことは忘れて、思い切り夏を楽しんで!」と言われるそうです。
なんともフィンランドらしい、すてきな夏休みの考え方です。
甥っ子も、日本へ遊びに来たときに買った釣り具やジグを使い、フィンランドでの釣りを思う存分楽しんでいました。
釣りを通して出会えた、フィンランドの暮らし
目の前の海で釣りをして、自分で魚を捌き、みんなで料理を囲む。
特別なことをたくさんする旅ではありませんが、一つひとつの時間がとても豊かで、心に残りました。
日本とは違う魚の捌き方や料理の習慣。夜遅くまで明るい空。ボートで島を巡る人々の暮らし。そして、短い夏を心から楽しむフィンランドの文化。
釣りを通して、その土地の自然だけでなく、暮らしや価値観にも触れることができました。
ゆったりと流れる時間と、心地よい気候のなかで楽しんだフィンランドの釣り。
日本ではなかなかできない、とても貴重な体験になりました。
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